トップページ > クローズアップ★イタリアビジネス > こだわりを届けるショップ > trenta(トレンタ)
この取材の日、駅前のとあるコーヒーショップで待ち合わせをした。そこで私を迎えてくれたのはとても笑顔が魅力的な方だった。
取材が終わる頃、ユーザはオンラインショップの向こうにこの笑顔を感じているのだろうと感じた。
オンラインショップ trenta(トレンタ)を運営する増田氏に話を伺った。増田氏がこのショップを始めたのはサッカーが好きでイタリアに興味をもち、イタリアを好きになり、イタリアに関する就職先を探したが、思うように見つからず、それであれば自分でお店を開けばイタリアにも行けるしと考えたのがこのショップを作ったきっかけなのだそうだ。
増田氏のセレクトする商品は玄人に受けが良く、イタリア好きからの注文が多くあるという。
「基本的には私のお店は私が好きな物しか置きません。見本市なども行けたら良いと考えてはいますが、そういうところに出店している商品は大手に任せて、私はイタリアの町を歩いて、1件1件実際に自分の目で見て、良い物を探し出しています。」
確かに、trentaのホームページに並ぶ商品は、他では見かけない商品が並んでいて、運営者のこだわりを感じることができる。
オンラインショップを始めてもうかなり経つとのことだが、未だにイタリア人とのやりとりには苦労しているそうだ。イタリア人の日本人と感覚が違う点として、日本人は仕入れをする際にはやはり綺麗な傷のない物を仕入れたいと思うのが普通だが、イタリア人にはあまりそういった感覚がないという。
「イタリア人に私たちの感覚を伝えることは難しいし、話をしても『大丈夫だよ』ですまされてしまうことも有ります。梱包も適当だったりしますし、まともに荷物が届かない事もあります。今はそれを見越して業者に多めに発注したりもしています。
私は特に紙製品が好きなので仕入れる機会が多いのですが、これに関してはちゃんと梱包してもらわないと破けてしまったりするのは困るので気を遣っています。」
イタリア人と日本人がビジネスする上でこの感覚のギャップを乗り越えていくことはこのショップに限らず大きな課題なのかもしれない。もちろん、イタリア人全員がそういう感覚であるとは思っていないが、そういう感覚の持ち主が多いのは事実なのではないだろうか。
増田氏に現在の取引先との出会いについて話を聞いた。
「イタリアで町を歩いていて、この製品かわいいと思ったときに、最近はインターネットのアドレスを掲載している商品も多いので日本に帰ってきてからメールを送るとか、手紙を出すとかしてコンタクトをとりました。地道に取引先を見つけました。」
こういった、簡単そうでなかなかできない事を続けてきた上に現在の愛されるオンラインショップ「trenta」が成り立っているのだと思う。
愛されるショップを作る秘訣を訪ねるととても明快な答えが帰ってきた。
「一生懸命対応していくことでしょうか。トレンタはお客様に恵まれてとても良くしていただいていると思います。そういったお客様に商品が届いたときにイタリアを感じてもらえるようにイタリアの新聞で商品を梱包したりしています。」
オンラインショップは商品を直接手渡すことができない。しかし、直接お店で買うのとは違う楽しみがあるものである。届くまでワクワクして待つ気持ち、開くときのドキドキ感。その演出をきっと何も狙わずに心からその思いを届けたくて、増田氏は自然に実行に移したのだろうと思う。
「売れれば良いとはどうしても思えなくて、日本に入ってきていない良い物、損得抜きで私が好きになった物を紹介したいという思いだけです。」
この言葉は私が今回の取材の中で最も印象に残った言葉である。大手には真似のできない、ビジネススタイルだと思うし、そして、損得を抜きにして自分の好きな物にまっすぐである思いはとてもイタリアらしい。
その分苦労は多いのだろうと思うが、小さな会社の生き残りを考えるときっとその思いは大きなエネルギーになり、良い形で仕事を続けていける一つの要素となるのではないだろうか。






